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石の心

想い

ご先祖様はお位牌に居るのか、お墓に居るのか
2012-12-17
先日お客様のお子さんにこんなことを聞かれました。
 
「お墓と仏壇と、どちらにおじいちゃんは居るの?」
 
これには私もビックリしました。
そして嬉しくなったので、今回はこの話を掲載させてもらいます。
 
 
 
先の質問には、柳田国男著「先祖の墓」に書かれています。
わかりやすくご説明いたします。
 
 
まず人は亡くなると、魂が「三つの段階を辿る」と書いてあります。
 
これは民俗学から見た日本人の霊魂観と捉えて良いと思います。
 
 
『死者と荒魂(あらたま)』
 
 一番目に、人は亡くなると「死霊」となり、家の周りを彷徨ったりする、と信じられています。
ときには人に害を及ぼしたりする死霊も居るので「荒々しい魂→荒魂」と書くのでしょう。
 
そこで人はこれを鎮めるために、追善供養や神道の鎮魂・慰霊祭があるのです。
死霊(荒魂)は大切にお祭りをしてもらうと、その家の厄を除き、幸福をもたらしてくれる除災招福の力があると信じられています。
 
 
『祖霊と和魂(にぎたま)』
 
 次にですが、ほとんどの家では追善供養を仏教で行います。最初が「四十九日」で、七日ごとに七回お寺に法要をしてもらいます。(四十九日まで)次は百日目、あとは一周忌、三回忌、一三回忌というふうに、少しずつ間を空けながら仏壇やお墓で供養します。
 
 こうして死霊は、年月とともに荒々しさも消え、安定し和やかな魂という意味の「和魂」という祖霊になります。
 祖霊は家族や子孫ににぎわいや害を及ぼすこともなくなり、むしろ繁栄と恩恵をもたらします。
 
 
 『神霊と氏神』
 
 家族の供養を受けて30年程すると、祖霊は血縁の家を離れて、個性を持たない霊となる、と信じられてきました。同じ地域の神様の仲間に入るので「神霊」と呼ばれます。
 これが村の「氏神様」です。氏神様は全体の繁栄、特に農業が盛んだった頃は豊作をもたらし、人々の願いや安全を叶える一方で、人々の生き方によっては、天災をもたらす恐ろしい一面もあります。
 
 ちなみに、三十三回忌または五十回忌が終わると、家の供養から完全に離れるので「弔い切り(といぎり)」といって、戒名を書いた位牌を処分し、「墓だおし」と言って、お墓を倒す習慣のあるところもあります。
 
 
 
最後に お墓とお位牌のお話をします。これがお子さんの質問の答えになります。
 
 
【お墓とお位牌】
 
 お位牌は中国と日本では意味合いが違います。中国は位牌は魂魄(こんぱく)で言うと「形魄(けいはく)」そのものの役割をしていますが、日本では「霊魂(または魂気)」が宿るところになりました。
 
 
 日本ではお墓は白骨となって「形魄」が宿り、位牌は「霊魂(または魂気)」が宿る大切な所なのです。
 
ですから、現在の日本で比較的安価で行うことのできる「散骨」などが報道されていますが、私は白骨である形魄をお祀りをせずに、海や山に撒くというやり方に疑問を感じます。
 
 もしも散骨などをしてお墓がないときは、ご先祖様の「魂(こん)」は相手の「魄(はく)」がなくてひとつになれず、我が家へ帰ることができません。
 魂はきっと悲しげに、家の周りを彷徨っていることでしょう。
 
 
 
 霊魂(または魂気)は神霊になるまで御供養をし、形として残っている白骨は形魄として、お祀りをするのがご先祖様への感謝の気持ちであり、また大切なお墓の役割なのではないでしょうか。
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